『空腹者の弁』 の 作り方
《用意するもの》
◯ 空腹者の弁 テキスト(作:筒井潤)
【公開中 →  こちら

テキストがどうして63ページなのか、どうして文字数、行数かこうなのか、1997年の筒井潤に訊いてみないとわからない。ただ、再演する際には必ずこの文字数・行数・ページ数のテキストで実施すること。
サイコロ
6面体、12面体、20面体。用途によって使い分ける。


《セリフ決め》

初演では全ページの全セリフを全出演者がサイコロを振って、出た目が大きい人が1行目から順番に台詞を取っていった。これが最もシンプルで美しい方法である。しかし上演時間がとても長くなった経験から、再演以降はサイコロでカットするページも決めていった。
2017年の上演では以下のルールを採用した。

(1) カットするページを決める
6面体サイコロを1ページずつ合計63回振り、4の目が出たページは採用しないこととした。

(2)シーンを決める
1ページ目から順番に6面体サイコロを振り、出た数字がひとつのシーンのページ数となる。最初に「2」が出たらP.1〜2がシーン①。次に「5」が出たらP.3〜7がシーン②、といったように。2017年はこれで15シーンできた。

(3)各シーンに何人出演するか決める
シーンごとに6面体サイコロを振り、出た目がそのシーンの出演者数である。

(4)各シーンに誰が出演するかを決める
シーンごとに出演者全員が20面体のサイコロを振り、出た目が大きい人から順番に出演決定となる。例えばあるシーンに3人が出る場合、出た目が大きい者3名だけが出演となる。サイコロが弱くて出す目がいつも小さい人は出番が少なくなる。

(5)台詞を決める
各シーンに誰が出るか決まったので、次はその出演者が20面体のサイコロを振り、出た目が大きい順から1行目より台詞を取っていく。ここが初演時から変わらないところ。同じ数字が出たら同時に喋る。

(6)カットする台詞を決める
2017年では、上演時間が長いと観客がとても疲れるという配慮から、ここでさらに台詞をカットした。各ページごとに12面サイコロを振り、出た数字分だけカット。12が出たらそのページは半分近くカットされることになる。
そして具体的にどの台詞をカットするかはそのページに出演する人が決めた。お気づきかもしれないがここで創作性が混ざっている。過去の上演ではなかったルール。魅力的な台詞を泣く泣くカットする俳優の表情は面白かった。

(7)不採用シーンの復活
遅れて参加した3名の俳優に不採用となったページを復活させ、担当してもらうことにした。(1)でカットになった各ページに対し20面体サイコロを振り、出た目の大きい順で3ページ分復活させ、それをひとつのシーンとした。つまり何十ページも飛んでいたりするのだが、このテキストでこのようなルールでやっているので何の違和感もない。そして復活したページで(5)(6)を実施。

このようにしてセリフを決めていったのだが、2017年ではシーンの順番を変えたり、2つのシーンを同時に上演したりしてよりコンパクトにまとまるように演出された箇所もある。できるだけ創意工夫が介入し難い方が良いのだが、とにかく鑑賞環境が厳しくなると予想されたのでそれを考慮した演出となった。やや残念ではあるが、その分だけ作品の魅力がギュッと凝縮された時間となった。

以上のようなルールを参考にしながら、オリジナルのルールも加えたりして皆さんがそれぞれの「空腹者の弁」を創作してくれたらそんなに嬉しいことはない。ワークショップなどで試してみて、俳優のスキルアップのためにやってみるのも良いだろう。
※有料公演でテキストを使用し上演する場合は必ずご一報ください。

dracom リーダー  筒井潤

コメントは受け付けていません。