dracom祭典2011 『gutter』

年老いてすることもなく、生きる希望もなく、ただただ周りの人たちに迷惑をかけるばかりの生活に嫌気が差した老人は自殺を試みたが、あまりの体力の無さで失敗に終わった。しかし、彼自身はそれに気づかず、強く自分がすでに死んでいることを強く主張し続ける。情けなく生き長らえてしまった彼と、彼を取り巻く家族や近所の人々とのおかしな交流の物語。

この作品では、ソポクレスのギリシャ悲劇『アイアース』と、dracomリーダーの筒井が実際に聞いた自殺を試みて家の前のどぶに落ちた老人のエピソードを下地にして、高齢者の自殺の問題を取り上げる。『アイアース』を身体のみで演じつつ、俳優の口からは、それとは関係性が極めて薄い筒井のテキストを発させる、という幾層もの構造で表現される不思議なパフォーマンス。それは、過去から引き継ぐ身体性と断絶の連鎖というべき言語の発展を同時に抱えるという、生きていて感じる人間の表現の困難さを実際に舞台上に乗せるという試みでもある。

2011年9月30日~10月2日 AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
[作・演出] 筒井潤

[出演]
穴見圭司 小島聖子 筒井潤 村山裕希
佐伯有香(Monochrome Circus、双子の未亡人)  松田早穂(ベビー・ピー)

コロスのみなさん]
小坂浩之 田中良明

[スタッフ]
舞台監督:西田聖  照明:池辺茜  照明操作:吉田一弥
音響:奥村朋代  宣伝美術:三澤敏博(絡繰堂)
制作:dracom制作部、尾崎雅久(尾崎商店)

[主催] dracom

AI・HALL提携公演  第3回むりやり堺筋線演劇祭参加公演

 

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