dracom 祭典2013 『方々ノ態』
いつの時代か示されない、ただひとりの「逃げている男」が生活しているテントが舞台。何から避難しているかよくわからない。具体的な危険や困難から避難しているようでもあり、この世の全てが「難」であり、そこから逃げているようでもある。
人類の歴史は、他の地に何某としての自分を背負って冒険し、ねぐらを確保し、利益を得て、希望を持って繁栄を続けてきたことを多く語られるが、それは一方で逃げる立場の人間もたくさんいたということになる。そしてその歴史は現在まで途絶えたことがない。逃げている最中という状況下において、その逃げることになった原因と逃げる意味を見失った人間の滑稽で儚い日常をサイトスペシフィックな演出で描く。登場人物の言動を住居である10~15人用テントの中に招かれた客の目線で眺める鑑賞者は、すぐ傍にある虚無の現実を突きつけられる。
dracom 祭典2010 『 事件母(JIKEN-BO) 』
dracom 祭典2009 『 bloiler’s song 』