【2016.11.25〜28 dracom 2本立て 演劇公演】

オリンピックと餓死 —— 大阪を拠点に二十五年、ほのかに独自な話題を提供し続けている
劇団dracom(ドラカン)による、久々の東京公演。全く作風の異なる新作2本立てです。

dracom祭典 東京公演

『今日の判定』、『ソコナイ図』
作・演出:筒井潤

Today’s Judgment & Sokonai-zu by dracom (written & directed by Jun Tsutsui, subtitled in English)

「オリンピック」と「都市における餓死」という一見全く通じるところのないテーマを扱い、全く作風の異なる今回の二作品ですが、どちらも、人が「こんなはずじゃなかったのに」と嘆く直前に訪れる眩暈の時間と捉えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
筒井潤(dracom リーダー)

『今日の判定』
リンゴは食べもの。ではゲームは?
架空の競技に真剣に取り組む人々。彼らを突き動かす理念は…
2008年に北京オリンピックの開催を意識して発表した不条理スポーツ・フィジカル・シアター『ハカラズモ』 を改訂した新作。架空の競技への真剣な取り組みとその背後にある理念が否応なく破綻してゆくさまを、暴走するスコアボード、ルール、サインの体系を用いてユーモラスに描き出します。

『ソコナイ図』
都市で餓死は可能か?
年末と年始の境界の時間。二人の姉妹がじっと横になっている…
大阪市西成区の木造アパートを改装した小さなギャラリーで、2015年末から2016年の年明けにかけてサイト・スペシフィック・ワークとして初演し、好評を得た作品の新演出。切り詰められた台詞と引き伸ばされた時間を通して、大都市における故なき「餓死」の瞬間に実話に基づいて迫ります。

[開催期間] 2016年 11月25日〜28日

[会場]森下スタジオ(東京都江東区森下3-5-6)

 

岡田利規(演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰)
筒井潤さんが物事や世界や現代をどう見ていてどんなことを考えているのかとても興味があるので話したり飲んだりする機会があったらいいなと思う。素直な人ではたぶんないんだろうという気がするが、ただのひねくれ者というわけでもきっとないだろう。大きなスケールで考えている人のような気配を感じる。新しい形式の演劇を模索する……とかじゃなくて、この世界の感じを演劇という形式に変換する仕方をさぐっているような気がする。

捩子ぴじん(ダンサー)
宣伝になりそうな書き方をするなら2015年に世界中いろいろ見て回った中でBest 1は筒井潤さんと伊藤拓也さんが大阪で企画した「ZOMBIE」だった。奇跡的。筒井さん東京に来るの? 絶対行きます。

新井知行(サウンド・ライブ・トーキョー ディレクター)
餓え、貧困、階級を因果律で結ぶことなくドラマを成立させアパートの一室から全宇宙に到達する『ソコナイ図』、北京オリンピックの年の不条理劇『ハカラズモ』を仮借なき条理の劇としてアップデートした『今日の判定』、どちらも見事という他ありません。dracomのためなら何でもします。

畑律江(毎日新聞大阪本社学芸部)
dracomはいつも謎だ。市販のキャンプ用テントでの“テント公演”、ルール不明のスポーツ劇、古アパートで倒れたままの姉妹の会話……。常識から逃げ続ける作品群からのぞくのは反骨か。謎は心をざわつかせる。

藤原ちから(批評家/編集者/BricolaQ主宰)
社会に不穏な空気が漂い始める時、アーティストたちはそれぞれの態度を問われるだろう。つまり闘争(ゲーム)に参加させられることになる。やむをえない。それがアーティストの使命なのだから。だが、dracom『今日の判定』は、誰かによって設定されたそのゲームの土俵そのものを疑い、ユーモラスに問いかける。あなたが闘っているものは何ですかと。

山下残(振付家)
dracom東京公演応援コメントの依頼を受けて、正直ひらめいたのは

大阪に だんだん人が いなくなる
このような川柳を、dracomへの愛を口コミで広めるショートメッセージとして使えないものだろうか。

[作・演出]筒井潤
[出演]鎌田菜都実、村山裕希、大石英史、小坂浩之、長洲仁美、大江雅子(以上2作品出演)、
稲葉俊、松田早穂、米津知実(『今日の判定』のみ)
[舞台監督]浜村修司(GEKKEN staffroom)
[音響]佐藤武紀 [照明]吉本有輝子(真昼)
[衣装]清川敦子(atm)<『今日の判定』>、松田早穂<『ソコナイ図』>
[小道具]村山裕希 [演出助手]小嶋謙介 [宣伝美術]三澤敏博(絡繰堂)
[制作]石塚理絵、dracom制作部
[制作協力]岡村滝尾(オカムラ&カンパニー)、中山佐代
[主催]dracom
[助成]公益財団法人セゾン文化財団、芸術文化振興基金、一般財団法人おおさか千島創造財団

11.25 fri − 11.28 mon   venue : MORISHITA STUDIO 《subtitled in English》
Written and Directed by Jun Tsutsui
Cast : Kamada Natsumi, Banri Kitano, Hiroki Murayama,
Shun Inaba, Eiji Oishi, Hiroyuki Kozaka, Hitomi Nagasu, Saho Matsuda, Tomomi Yonezu

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